日蓮宗について
●日蓮宗とは
日蓮聖人(にちれんしょうにん)の御在世の鎌倉時代は、お釈迦さまがなくなったあと、仏教が正しく伝わらず、正しいものの見方が失われ、誤った教え(思想と、考え)がひろまって人々が苦しむ末法(まっぽう)と呼ばれる時代になっていました。
生きることと死ぬことの意味、地震(天災)や戦(人災)で人々が苦しむわけ、そして本当の生き方、生きる目的を知るため、日蓮聖人はすべての仏教経典を読まれました。
そして、お釈迦さまの悟った真理は、ことごとく法華経(ほけきょう・妙法蓮華経)に書かれている、と知りました。
お釈迦さまは遠い昔から未来まで生き、法華経によって、すべての生類を救いつづける、とくに末法の人々を救う、と説かれています。
日蓮聖人は、ご自身が末法悪世の人々を救う良薬である法華経(妙法蓮華経・みょうほうれんげきょう)をひろめる役目をもって地上界に生まれ変わってきた上行菩薩(じょうぎょうぼさつ)であると自覚し、法華経の精神を自らの心とし、祈り、悟り、行うと誓いました。
『立正安国論(りっしょうあんこくろん)』において正しい、信仰と思想(法華経)によってのみ人々が本当に幸福に暮らせる国家、社会が実現できると鎌倉幕府に提言したあと、多くの迫害にあったのですが、その迫害は大聖人が教えを実践している証拠であるとし、法華経の行者(ほけきょうのぎょうじゃ)として生き通しました。
弘安(こうあん)5(1282)年、数え年61歳で亡くなった日蓮聖人は、末法唱導師(まっぽうしょうどうし)と呼ばれ、お祖師(そし)さまと慕われて、いまでも人々を法華経の信仰に導いています。
その流れをくみ正法興隆、立正安国、世界平和の実現に努力するのが日蓮宗です。

●日蓮宗の教え
日蓮聖人のみ教えは、 一大秘法、三大秘法にまとめられ説明することができます。
一大秘、法、略して一秘ともいう。教主釈尊が末代の衆生救済のために留め置かれた「妙法蓮華経」のことをいいます。日蓮聖人は末代の人類は思想、信仰、心の病にかかっているのであり、そのような重病を療治するために良薬が与えられているとされました。
良薬とは一代仏教の集約された要法である法華経の魂です。その要
法によってのみ釈尊の救済にあずかることができます。日蓮聖人はその要法こそが一大秘法の「妙法蓮華経」であることを示され、更にこの自分を救い世界救済する一大秘法の実践方法を「三大秘法」として示されました。
一大秘法たる妙法蓮華経の五字の要法とは何なのでしょう。それは釈尊のお悟りになられたものです。
釈尊は本当の自分である久遠本仏の生命とそのみ教えを悟りま
した。言い換えれば人類と宇宙の根元意識とその教え、法則です。
つまり妙法蓮華
経とは、大宇宙の星たちとアメーバから人類に至るまでのすべての生命体の総体です。
ですから、妙法蓮華経とは、宇宙の実相であり、久遠の本仏であり、九識真如
の都であり、宇宙の創造エネルギーであり、その法則であり、構造であり、その本質である慈悲と愛でもあります。
宗祖日蓮大聖人は、この妙法五字を成仏得脱の種子として人類救済を始められました、これを一大秘密の法と言います。
一大秘法は成仏得脱の種子でありますが、その実践方法を宗祖日蓮大聖人は、三大秘法としてお示しになりました。すなわち、一大秘法の五字は、身口意の三業に受持し、祈りと悟りと、行いに実践されます。

本門の題目
南無妙法蓮華経と祈ること即ち御本仏の意識にアクセスし本当の自分に帰ること。
私たちが妙法蓮華経の一大秘法を心より、南無妙法蓮華経と信唱受持した時に、私たちは自分の心の中で永遠の生命であり、無限の空間への偏在である本仏大宇宙と出会うことができます。

本門の本尊(悟りの内容)
日蓮宗の信仰の対象であり、救いを表現する本尊(ほんぞん)は、久遠実成本師釈迦牟尼仏(くおんじつじょうほんししゃかむにぶつ)です。それはインドのお釈迦様のお悟りになったご自身の本体です。このご本尊を文字で日蓮大聖人が表されたのが大曼荼羅本尊(だいまんだらほんぞん)です。永遠の生命の大宇宙に広がる総和のお姿です。南無妙法蓮華経と祈ると心に大曼荼羅の世界を悟り本仏と一体の境地になることができます 。

本門の戒壇
一大秘法の妙法蓮華経を金剛宝器戒として受戒し、本仏と一体の立場にたち、その本仏の願い、み業である生命の真理、仏種たる一大秘法の伝導、人類の啓蒙救済を誓う場所のことです。日蓮大聖人は、霊山浄土の調和の姿を以て大曼荼羅ご本尊をお書きになり、その立体曼荼羅である本門の戒壇を建立され地上界をを曼荼羅化即ち大調和されようと志されましたが、本門戒壇は未だ建立されていません。

以上三大秘法の実践により日蓮大聖人は、法華経の人類救済、浄佛国土顕現を実現されようとされた。日蓮宗は、理想実現の宗教です。

法華経
法華経は、全人類の救済と平和な地上浄土の実現を説かれた唯一の教えです。( 一乗)法華経は80歳で亡くなったお釈迦さまの本体が永遠に存在しつづける唯一、最高の本仏であると説いています。(一仏)法華経は、全ての人類は仏の子であるが故に平等であり成仏できると説いています
法華経は、人を助けることにより、自分も成長できると菩薩道を説いています。

以上法華経は、全ての教えと仏を統一し、統一した地上の浄土を実現しようとする菩薩の道を説く経典です。


●日蓮宗のあゆみ
日蓮聖人は、亡くなる時に弟子のなかの6人を代表に指名し(六老僧・ろくろうそう)、法華経を信仰し、お題目をとなえ、人々を救うように言いました。六老僧をはじめ、弟子や信者は、それぞれの拠点で日蓮聖人の教えをまもり、ひろめました。
日蓮聖人の教えをまもり、法華経信仰を一途に貫く日蓮宗は、他宗との軋轢(あつれき)のため、天文法難(てんぶんほうなん)や安土宗論(あづちしゅうろん)などの国家的迫害に遭うことが、しばしばありました。
日蓮聖人のお墓がある身延山久遠寺(くおんじ)を総本山とし、京都で日蓮宗をひろめた妙顕寺(みょうけんじ)と本圀寺(ほんこくじ)、日蓮聖人が亡くなった東京の本門寺(ほんもんじ)、日蓮聖人の著書や手紙を保管している千葉の法華経寺(ほけきょうじ)などの大本山や本山が、全国にあって、お坊さんを勉学修行させたり、末寺を増やしてきました。
ちなみに開本山妙顕寺は中老層天目上人の開山になる日蓮大聖人御真骨奉安の由緒ある本山です。日蓮聖人や六老僧のお墓、日蓮聖人の書かれた曼荼羅本尊(まんだらほんぞん)や著書や手紙のほとんどが、日蓮宗のお寺にあります。
現在、日蓮宗の寺院・教会・結社は5189、信者は385万3326人で、日蓮聖人の流れを汲む伝統宗派としては、最大の教団です。

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