●「埋もれ木庵記」(3)
平成二十六年一月
 首相安倍晋三氏の活躍で日本経済も上向きで、オリンピックを控え日本の未来も明るく見えるが、裏には未解決の原発問題等を抱え手放しでは喜べない。理想と信念に基づくであろう消費税増税、国土防衛等の施策また、正論、大義名分からの靖国参拝の実行等は現実の経済力、防衛力等の力に裏打ちされて無く危ういところも多い。しかしまれに見る信念と実行力の首相であるといえよう。安倍晋三氏は後醍醐天皇の再来のような方であるが。後醍醐天皇も、生涯を通じ自らの理想を実現しようとされた理想主義者といえる。その天皇の理想は実現するものの、その後の乱世の始まりと成る。建武新政の理想は武家政治を廃し再度天皇支配の政治を確立することであった。
 後醍醐天皇の政治理念のバックボーンは大義名分論の朱子学であり。宗教的支えは真言の祈祷であった。自分の理想の実現には鎌倉幕府を打倒しなければ、目的は果たせないが後醍醐天皇は幕府を倒すための武士団という軍事力を持たなかった。 したがって、後醍醐天皇は地方の豪族に、倒幕の綸旨を発し鎌倉幕府をに倒すことが出来た。武士によって武士を倒したのである。1333年5月のことである。したがって後醍醐天皇は政治的目標を実現するも軍事力を依然として武士団に頼み矛盾を抱え、以降戦乱世と成る。後醍醐天皇は、失意のうち自らを顧みて、最後は立正安国による理想の国家を目指す法華経に目覚め、 右手に剣を持ち、 左手に法華経を持って 亡くなったといわ れる。安倍首相には是非、前生の様なお方を超え融和の法華経思想による理想国家を建設していただきたい。

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