●幸福とは何か<14>
平成二十四年十一月
 幸福は、捕まえたと思っても、次の瞬間逃げてしまう。捕まえたとたんに、はじけて消えるシャボン玉のようでもある。
 それは、諸行無常という法のもとに、万物は流転し総ては滅び行き、ひとの心もまた常に変わりゆくからであろう。人の世の、人としての幸せはまた無常といえる。この世界においてどうすれば本当の幸せが得られるか、それには無常でない幸福、つまり人との比較、競争の上にある相対的な価値による幸福ではなく、本当の自分である神の分霊としての幸福である本当の幸せを求めるとよい。それは、神の喜び、神の感動、神の幸福の獲得である。
 人は、宇宙の大霊である神なる本佛が分霊し地上に出現したものである。従って人間の本性は仏であり神である。この本当の自分を探求し、本当の自分を生きることが人の道であり、仏道である。本当の自分とは、個我なる肉体我ではなく唯一の本佛の顕現たる真我である。この処を無我という。この事を自覚すると、人は一切の苦悩や煩悩から解脱できるようになる。神なる真我は已に解脱しているからである。故に神の心で祈り、悟り、行う本佛の南無妙法蓮華経を実践すべきである。そのとき常住不滅の幸福は常にあなたとともにある。神なる、自己と凡夫たる自己があなたの中で一体に存在しているのだ。日蓮聖人は、この事を観心本尊鈔の中で「所化以て同体」と教示為されている。南無妙法蓮華経と唱え、神なる本当の自分を信じ、本当の自分を生きよう。

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